輝いている言葉で “その人らしさ” を紡ぐ
話し手の「核」が引き出されることで、ブランドブックのストーリーが完成する。
自分だからこそできる「感情を揺さぶる」ような文章を制作することと、話し手らしさが見えるようなインタビューを心がけています。
ライターになるまでは、ずっと食べ物や飲食店が好きで、これらに関わる仕事をしたいと思っていました。飲食店でのアルバイトでは接客や調理に没頭し、その後調理の専門学校に入学。同時に飲食業界の現場で経験を積みながら充実した日々を過ごしていたのですが、就職を視野に入れ始めると数々の違和感に直面しました。
肉体的・精神的に体力が求められる労働環境が合わず、体調を崩してしまって……。飲食の道を断ち、療養しながら自分の将来を見つめ直すことにしました。世の中にはどのような働き方があって、どの選択肢なら自分は生きていけるのか。さまざまな人生のカタチを探るべく、たくさんのフリーランサーや経営者に声をかけ、お話を聞かせていただきました。
その過程で出会ったのが、後につむぎで編集者を務めることになる高橋まりなさん(以下、まりなさん)。彼女と話を重ねるうちに、「フリーランス」という働き方が自分に合っていると確信できました。時間や場所にとらわれることなく、自分の心と身体を大切にできる働き方を実現したい。その一心で、新たな道へと足を踏み入れました。
PCスキルもない状態からのスタートでしたが、未経験でも快くアルバイトとして雇ってくれた会社とのご縁にも助けられ、着実に執筆実績を積んでいきました。「料理の経験を活かせるグルメライターになりたい」という新しい目標に向かって、そして夢に向かうきっかけをくれたまりなさんの背中を追いかけて、仕事に向きあう日々。
独立する転機になったのは、コロナ禍でした。グルメ系の仕事を続けるのが難しくなりましたが、ご依頼いただける仕事一つひとつにがむしゃらに取り組んできたんです。気づけば、選択肢を広げられる程のご縁がいくつもあることに気づいて。
続けてきたアルバイトを辞め、フリーランスとして生きていくことを決意しました。体調を崩した当時は、周りの環境に原因があると捉えてしまう自分もすごく嫌で。働きやすいと思える環境を自分の責任で作っていくことに自信が持てたから、迷いはありません。
まりなさんとのご縁で、紡ぎ手としてインタビューと執筆に関わるようになりました。
ある会社の管理職の方とのインタビュー中のこと。その方は「私達は地域でナンバーワンの会社ですし、ここで働けていることを誇りに思います」と仰ってくれました。開口一番の迷いがない表現で、「言葉が輝いている」と感じた瞬間でした。
インタビューをするうえで大事にしているのは、話し手が等身大で話せるような空気を作ること。親近感を持っていただけるように笑顔で対面し、「その人らしい」言葉が出てくるまでじっくり待って、感情を揺さぶるストーリーを紡いでいきます。
時代の流れも相まってか、身近に「フリーランスになりたい」という夢を持つ人が増えました。相談には乗れるものの、具体的なサポートをできてないことがずっと心残りでした。まりなさんが私に背中を見せ続けてくれたように、培ってきた経験を周りに還元していくことが新しい目標です。
この3年間を振り返ると、実は今が一番ワクワクしていて。持続的に働ける環境をようやく自分の力で作れるようになったので、今度は「誰かが一歩を踏み出せるきっかけ」を生み出していきたいんです。
たとえば、ブランドブックの取材や完成した文章を通して、経営者や社員に新たな気づきを与えること。今後実施予定のスクール事業で「紡ぎ手」へステップアップできる人を増やすこと。さらには、ライターを目指す周りの方たちの新たな1歩をサポートすること。私自身の経験を活かし、出会ったすべての人が前を向ける機会を提供できたら嬉しいです。