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人材教育はコストではなく、企業を成長させるための投資と捉えよう!

2020-07-15

経営を続けるなかで開発や広告、
人件費など投資をしなければならない
カテゴリーは多岐に渡りますが、
その中でも、今特に企業が注力を迫られているのが教育です。
日本企業が世界で競争力を上げるためには、
従来の教育に対する考え方をアップデートする必要があります。
今回は日本企業が抱える教育に対する投資の問題点と、
サービス業が陥りやすい教育の罠について考えていきます。
様々な仲間をイメージさせる写真です

日本企業はそもそも教育への投資が少ない!?

日本企業で社員教育や研修というと、
ほとんどの場合「OJT(On-the-Job Training)」を指すのではないでしょうか。
なかには座学や外部講師による講座、
eラーニングなどもあるかもしれませんが、
全体の割合の中では非常に小さいものとなっています。

しかし、これは日本の企業内教育の特殊性を表しており、
海外の企業では状況が全く違います。
海外企業の場合研修や教育というと、
教育機関への通学などを含めた
「Off JT(Off-the-Job Training)」を指す事が多く、
ここに対して積極的に投資する事が
企業の成長には欠かせないという考えが根付いています。

厚生労働省の調査によると米国ではGDPの2.08%、
フランスでは1.78%、ドイツでは1.20%、
イタリアでは1.09%、英国では1.05%を、
企業がOff JTに投資しているというデータが出ています。

一方日本ですが企業のOff JTへの投資は
わずか0.10%となっており、
突出して低い数字です。
これは現代において、企業の成長を頭打ちにしてしまう
大きなマイナス要素といえます。
>>参考資料

日本企業が抱える人材教育の構造的な問題

日本企業のOff JTへの投資の突出した低さとOJTへの極端な偏りは、
日本企業の抱える構造的な問題が影響しています。

戦後から1990年代初頭にかけて、
日本企業は終身雇用制度と
年功序列制の雇用体制で経済成長を続けてきました。
マネジメントを行う立場になるのは
長期勤続を続けた社員である事が多く、
これは日本独特です。
海外の場合、優秀な人材をマネージャーとして
ヘッドハンティングすることの方がむしろ一般的でした。

日本のような終身雇用制度と年功序列型の組織の場合、
社員にも求められるのは社内で
定められた枠組みの中で生きていく能力です。
社内文化の中で人を管理する能力だったり、
自社で取り組んでいる業務に深く
精通していくなどが挙げられるでしょう。
自社で活躍し続ける人材を育てるためには、
自社のことを教える必要があるという理屈です。

しかし、終身雇用制度も年功序列も過去の遺物となりました。
生涯に一社にしか勤めない人はむしろ稀になり、
パラレルキャリアや副業といった
キーワードが世の中に溢れています。

こういった雇用に関する変化に加えて、
世の中の変化のスピードが非常に早くなったことで、
社内にあるリソースしか使わない教育・研修は
あっという間に陳腐化してしまいます。
OJTだけに頼る研修では社内の
業務遂行能力自体は上がるかもしれませんが、
実は生産性が高まっていない可能性があるのです。

教育に投資しないことで発生するリスク

教育に投資しないことで生産性が低い状態が続く、
これは大きなリスクです。
しかも、経営者は生産性が低いことに
気付いていない可能性があります。

多くの日本企業はこれまでOJTに頼る研修を行ってきました。
OJTは社内の業務を身につけ、
管理された中で決められたことを
行う人材を育てるには適した教育方法と言えます。

しかし、研修内容自体が社内というクローズドな
世界でしか通用しない知見から生まれたものであり、
そこに創造性や革新性はありません。
今経営において最も必要なのは、創造性や革新性をもち、
それを実行できる能力のある人材です。
世の中の変化するスピードが速くなっているため、
それに対応できた上で違いを生み出す事が
ビジネスの成功には欠かせません。

こういった人材は保守的な研修といえるOJTでは育ちません。
OJTは職人を育てるのには向いているかもしれませんが、
プロデューサーやリーダーは生み出しづらいのです。
プロデューサーやリーダーのような管理者は、
生産性を高める役割を担っています。
この立場の人材が育たないと企業の生産性が上がりません。
「うちの会社はOJTでしっかり管理職が育っている」
という企業もあるかもしれませんが、エリアや競争相手、
業種に恵まれているだけという可能性があります。

サービス業における教育の光と闇

人材が企業の業績に直接大きな影響を
与える業種の代表格はサービス業です。
サービス業=人自体が商品と言っても過言ではありません。
人材教育が最も必要なサービス業ですが、
現実は非常に厳しいものがあります。

例えば飲食店は離職率が非常に高い業界です。
離職率50.2%はあらゆる業種の中で群を抜いています。

研修や教育がきちんと行われていない企業ほど、
離職率が高くなるという内閣府の調査データ
(調査:企業における人的資本投資の効果)もあります。
雇ってもすぐに辞められる可能性が高いから
ろくに研修や教育をしない、
教育へ投資してもリターンがないから
しないという悪循環の結果、
従業員のレベルも上がらず離職率も改善せず業績は
どんどん下がっていくという
負のスパイラルにはまります。
>>参考資料
利益率の低い飲食店経営においては、
従業員の現場での稼働時間を削って
教育・研修に充てるというのは
避けたい企業が多いはずです。
現場ではフル稼働してもらい、
従業員の能力や貢献度も高めたい。
それを達成するために一時期盛んに
導入されたのが「飲食店における理念経営」です。

お店の価値観やスローガン的なものに共感してもらい、
従業員に生き生きと働いてもらう。
生きる目的がなかった若者でも、
うちの店ならキラキラした毎日を送る事ができる。
お店で仲間たちと青春できる。
例えば「居酒屋甲子園」のようなイベントは、
従業員のモチベーションをあげる
研修事業として成り立っています。

しかし、この手法は一歩間違えば洗脳といわれ、
やりがい搾取になりかねません。
実際その企業で働くモチベーションが高まりこそすれ、
人材の仕事上の能力が本当に上がっているかは疑問が残ります。
モチベーションが高ければ人は成長すると言う理屈は、
働く場所で積める経験のレベルが高い場合に言える事です。
流れ作業的な仕事をモチベーション高く10年続けたからといって、
社外に出て能力が評価される可能性は低いでしょう。

つまりサービス業や飲食店であっても、
OJTやモチベーション向上のための研修以外に
Off JTで幅広い知見を肉付けしていかなければ、
本当の意味での人材の成長はなく、
企業の成長もないといえるのです。
天秤をイメージさせる写真です

教育に投資できるかで経営者のレベルを評価される時代

「Off JTをしたところでリターンがなければ経費の無駄じゃないか」と
考える経営者もいるでしょう。
しかし、教育=経費(コスト)という考え方では、
企業の競争力を失っていく危険があります。

これまでの日本企業の教育・研修は、自社の役に立つ人材、
リターンがある人材を育てる事が目的でした。
それこそがOJTの役割だったわけです。
OJTは社内のリソースのみで実施できるため、
費用という意味では出ていきません。
その点Off JTは費用が発生するため、
コストという視点からだけでいうと
OJTで済ませたいと考えがちです。

しかし、前半で次のように述べました。

世の中の変化のスピードが非常に早くなったことで、
社内にあるリソースしか使わない
教育・研修はあっという間に陳腐化してしまいます。

いってみればOJTは再生産を行なっているに過ぎません。
社内でのみ通用するクローズドな
知見のためアップデートされづらく、
人材の行動に創造性や
革新性をもたらすものではないのです。
外の世界の知見であるOff JTによってのみ革新が生まれ、
企業の成長を促進する人材が育つといえます。

革新を生み出すという意味では、
やはり企業の人材教育は投資であるべきなのです。
経費で革新を生み出そうと考える経営者はいないでしょう。
革新がなければ成長しません。
現状維持は衰退を意味します。
教育、特にOff JTに投資を行えるかどうかで、
経営者のレベルや会社の成長可能性を
評価される時代がきたのです。
<この記事を書いた人>
つむぎ株式会社 代表取締役社長 前田亮。静岡県立清水東高校、慶應義塾大学経済学部卒業後、新卒で株式会社船井総合研究所に入社。エンディング業界の立ち上げを行い、チームリーダー、グループマネージャーを得て、35歳で部長となり、BtoCサービス業全般を広く携わる。10億円未満の中小企業における「業績を伸ばす組織作り」をコンサルティング領域とする。「信念のあるいい会社」にもっと入り込んだお手伝いをしたいと2020年独立し、つむぎ株式会社を創業する。

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