リハプライム株式会社様
弊社が運営する、『人財』を強みとしている企業が集うコミュニティ「Tsumugi Lab.」(つむラボ)。
同コミュニティでは年に1〜2回、模範となる企業を視察しています。

2025年4月4日(金)は、さいたま市大宮区にあるリハプライム株式会社へ視察に伺いました。

リハプライム社は、リハビリ特化型デイサービス「コンパスウォーク」を中心に、フランチャイズや地域子会社の設立を通じて、全国200拠点以上で介護保険事業や福祉サービスを展開しています。(2025年4月時点)

将来性のある優れた企業に贈られる「グッドカンパニー大賞・特別賞」や「日本でいちばん大切にしたい会社 厚生労働大臣賞」も受賞されている企業です。さらにテレビ東京系列の経済番組『日経スペシャル カンブリア宮殿』でも特集されるなど、業界内外から注目を集めています。

お年寄りを介助して護る介護ではなく、人生の大先輩を敬って護る「敬護(けいご)」という理念に込められた想いや、社員の幸せを追求する数々のユニークな取り組み。そしてなぜ、社員の幸せが会社にとって必要なのか……?

今回の視察での気づきをレポートします!

「敬護」で恩返し。親を預けたいと思える施設。

集合場所は埼玉県大宮駅。リハプライム社 取締役・営業本部長の半田氏に出迎えていただき、バスで会場へ向かいました。
リハプライム株式会社様

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会場に着くと、参加者の名前がずらりと書かれた看板の横に、会社の理念「敬護」が大きく掲げられていました。
業務中の社員の方々が全員手を止めて笑顔で出迎えてくださり、歓迎ムード。自席につくと、パンフレットや名札の他、名前入りの「い・ろ・は・す」ならぬ「こ・ん・ぱ・す」水が!
細やかな心配りが嬉しかったです。
リハプライム株式会社様

リハプライム株式会社様
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早速代表取締役の小池修氏による講演が始まりました。
リハプライム社の理念は「敬護」。人生の大先輩を敬い、尊厳を護り、年齢に関係なく意欲を持って「やりたいこと」を実現できる場づくりを大切にされています。
この理念の背景には、小池氏自身の原体験がありました。ご両親が同時に倒れてしまったとき、38もの施設を巡りましたが、心から預けたいと思える施設がなかったそうです。利用者さんが子ども扱いされていたり、職員からも「やってあげている」という雰囲気を感じたり……。介護業界の現状にショックを受けた小池氏は「親を馬鹿にされたくない」という一心で、フィットネス会社の執行役員という立場を捨て、周囲の反対を押し切って2011年に自ら事業を立ち上げたといいます。

リハプライム社では「家族が介護離職をすることなく、利用者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けてほしい」という思いから、民間版の地域包括ケアシステム「コンパスヴィレッジ」の構築を目指しています。
半径400~500m程度の生活圏にデイサービス、訪問看護、福祉用具貸与、喫茶、美容室、移動スーパーなど小規模多機能な拠点群を配置し、地域の高齢者を包括的に支えるという取り組みです。

実際に、小池氏のお母様もリハプライム社のデイサービスや訪問看護、タクシー、美容室などを利用しながら生活されているそうです。

また、利用者の方々には毎年目標ややりたいことを伺っているそうです。コンサートやお墓参りなどに同行してくれる「娘息子代行サービス」もあり、利用者の“やりたい”を叶えています。訪問させていただいたデイサービス施設の壁にも、たくさんの利用者の方々のやりたいことや目標が、笑顔の写真と共に飾られていました。
リハプライム株式会社様
「服の色や眉毛へのこだわりなどを『誰も見ていないから』と言って雑に扱われたり、高齢という理由でやりたいことを制限されるところから、老いが始まっていく」というお話が印象的でした。「意欲とリハビリはつながっている」という考えのもと、たとえ小さな願いであってもサポートする姿勢が徹底されています。

「親孝行日本一の会社」を目指して。

「敬護」とは「幸せの追求をしながら、親孝行する志事」だと小池氏は言います。
リハプライム社では、その理念にも象徴されるように「親孝行」を大事にしており、社員に対しても数々のユニークな取り組みを行っています。
リハプライム株式会社様
特徴的なのは、フランチャイズ展開の条件。展開先がオーナーの「両親」がいる地域であることが唯一の条件になっているのです。自分の親を大切にするように、社員の親や地域の人々も大切にするという気持ちで事業が運営されていくため、まさに会社の理念がブレることなく実践されています。
また、「敬老の日」よりも「父の日」「母の日」を特に大切に祝ったり、入社5年目以降の社員には「恩返し研修」と称して会社の費用で親孝行旅行に行ける制度もあります。
11月15日は「敬護の日」として日本記念日協会に登録されており、「敬護」を文化として位置づけ、親孝行の大切さを発信しています。

講演の後には、訪問看護やデイサービスの施設、利用者の方々のコミュニティの場にもなっているカフェ「茶の間」や、美容室も見学させていただきました。コンパスヴィレッジを彷彿とさせるように、どの施設もバスで約15分の距離に点在していました。
リハプライム株式会社様
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従業員、利用者様、会社業績、社会の「4方良し」

小池氏が親孝行を追求する中で、親は子供が達成した“結果”よりも、“子供が心から喜び、幸せでいる姿を見ること”に幸せを感じるのだと気づいたといいます。そこから、社員が幸せであることの重要性にも気づいたのだとか。
ハーズバーグの二要因理論によると、職場での「不満足」と「満足・充実」の要因は繋がっておらず、独立した要素によってもたらされるそうです。「不満足」を引き起こす要因(給与、人間関係、会社の方針など)をいくら改善しても、ただ不満を解消するだけで働く意欲やエンゲージメントの向上には繋がらない。社員の離職を防ぐには、「満足・充実」の要因(達成感、承認、責任、成長)を突き詰めることが重要だということでした。
新入社員のエンゲージメント向上のために、入社して2週間のタイミングで会社の良いところを50個書いてもらうそうです。一方で、3人の先輩社員に新入社員の良いところをそれぞれ25個書いてもらい、その言葉を本人へプレゼントする素敵な取り組みもされていました。

また、年に2回社員満足(ES)と顧客満足(CS)のアンケートや、価値観を軸とした「ビジョンマップ」の作成、「価値観面談」を実施。社員一人ひとりが“自分が大切にしたい価値観”を明確にし、それを軸に成長できる環境づくりにも注力しています。

その他にも、リーダー研修(コンパスアカデミー)を月1で開催したり、「敬護」を象徴する事例共有動画を毎年作ったり……。さらには社長の声を届ける3分動画を毎日配信するなど、理念浸透や社員のやりがい醸成を目指す学びの機会が豊富に用意されていました。

途中で訪れた訪問看護施設でも、社員のお互いの良いところを投稿する「イイネBOX」が置かれており、誕生日の日にプレゼントされるそう。リハプライム社では、こうした感謝を伝える取り組みがたくさんあります。社員のみなさんが生き生きと働く姿が目に浮かびました。
リハプライム株式会社様
「社員の“幸せ”や“やりがい”を追求して地域に還元していくことで、自分たちがいなくなった後も地域全体が安心して生き生きと暮らしていける、幸せの連鎖が生まれます」と、小池氏。「敬護」が介護業界のスタンダードになる日を願ってやみません。

視察参加者の方々もリハプライム社の理念に深く共感し、数々の取り組みやフランチャイズ加盟に興味津々で、移動中のバス車内でも質問が飛び交っていました。

最後に各自の共有タイムを経て、それぞれの気づきや感想を発表しました。早速自社で実践したい取り組みを話し合う方や、自分自身や社員の幸せを本当に100%考えて日々仕事ができているかを改めて振り返る方も見受けられました。
リハプライム株式会社様
弊社でも、「やりがいとは何か」を哲学的に学び合う場を設ける話が持ち上がりました。今回の学びや気づきを社内で共有し、さらに発展させていきたいと考えています。

まとめ

リハプライム社は理念を単なる理想で終わらせずに、日々の取り組みやサービスに具体的に落とし込むことで、行動指針である“4方(従業員、利用者様、会社業績、社会)良し”を体現しています。

理念の浸透によって一貫性が保たれ、社員も会社や社長を信じることができ、会社が拡大しても全体が同じ方向を向くことができるのだと感じました。
半田氏から「『敬護』という理念は小池の最大の発明であり、誰にでもわかりやすく覚えやすいという点も理念浸透の大きなポイントなんです」と教えていただき、心から共感しました。

今回の視察を通じて、介護業界に対するイメージが大きく変わったと同時に、「理念浸透」と「社員の幸せ・やりがい」の重要性を改めて感じました。

皆さんも仕事の判断に迷うときには、会社の理念を振り返り、目指す方向を仲間と共有してみてはいかがでしょうか。きっとその判断の積み重ねが、「4方(従業員、利用者様、会社業績、社会)良し」の幸せの連鎖を導いてくれるはずです。