2023年7月、つむぎに新しいツールが生まれました。
その名は“つむぎVMVカード”。つむぎのメンバー、一人ひとりの特徴や適性が記されたカードです。
そう聞くと「なるほど、インナーブランディングのために作ったのか」と思われるかもしれません。しかしこの“つむぎVMVカード”、広報PJというつむぎの広報を考えるプロジェクトから生まれたツールなのです。
いったいなぜ広報という観点から、インナーンナーブランディングに用いるようなツールが生まれたのでしょうか?
そこにはプロジェクトに参加したメンバーたちの想いが込められていました。
なぜ広報がプロジェクトに?広報PJ誕生の背景
2022年12月から活動を開始した、広報PJ。与えられたミッションは「つむぎを社会に伝えること」、まさに広報でした。
これまでのつむぎはメンバーが少なく、制作やコンサルティングに注力する必要があったため、社会への発信に力を入れてこられなかったのです。また発信をメイン業務とするメンバーも不在でした。
立ち上げ初期の組織なら、それでもある程度の企業活動は可能です。
しかし22年の後期、つむぎ立ち上げ期から次のステージへ成長を遂げようとしており、企業活動の発信にも力を入れなければいけないタイミングが来ていました。
幸いにもメンバーが増えたこと、それまでのプロジェクトではインナーブランディングを重視した内容を重ねやり尽くしていたこと、そして先述した企業としてのタイミング。
複数の要因が重なり、新たなプロジェクトはつむぎの広報を担う“広報PJ”となったのです。
広報を部門として設置せず、プロジェクトとしたことにも理由があります。
それは現代の情報社会で価値を持つ情報を発信するため、つまり情報の波に埋もれない広報をしていくため。具体的にいえば、人にこだわって人事サポートを行う、つむぎらしい広報を行なっていくためでした。
マーケティングほど売り上げに直結する活動ではなく。かといってブランディングほど自分たちの世界観をフルに出していくでもなく。あくまで広報を行う。
当然とも思えるこの事実は、のちに、このプロジェクトの活動に大きく影響を与えていくこととなります。
広報PJ廃止!“つむぎ発信所PJ”へ
広報PJはリーダーのもと『「つむぎ自慢」を通して、一人ひとりが主役になるチームへ。』というコンセプトで活動を進めていきました。
広報のコンテンツを生み出す過程で、つむぎメンバー自身が「つむぎ」を自分ゴト化する。そして、つむぎのVissionや働く人の想いをもっと多くの人に知ってもらう。
そんな想いがこのコンセプトには込められています。
活動初期に議論されたのは「どのチャネルで、何を発信していくか」というもの。つむぎのプロジェクトは自由度が高い反面、こういった脳に汗をかく活動が多くあるのです。
メンバーによるブレスト、そして投票の結果、Twitter(現X)の運用を行なっていくことが決定しました。
発信する内容は、つむぎの生み出している価値と、つむぎの社風を届けるというもの。またターゲットはつむぎのクライアント様となり得るtoB、やがてつむぎのメンバーとなり得るtoCとなることも決まります。
しかしここで問題が発生しました。他社事例やプロジェクトの期限の関係で成功のシミュレーションが建てられず、議論が白紙となってしまったのです。
つむぎのことを、一人でも多くの人へ発信したい。そのためにどうやったらメディアに取り上げてもらえるだろうか。
膠着した中で出たのは「自分たちが楽しいことがプロジェクトの価値なのでは?」という意見。そして「内側に目を向ける時間としたい」という意見でした。そうしてこのプロジェクトは、メディアにつむぎの存在を知らせる広報PJではなくなりました。
つむぎの良さをメンバー自身が実感し発信する。そして共感を生み出し、やがてつむぎの存在を社会に知ってもらう。そのきっかけを作るプロジェクト。インナーブランディングを行い、その事例を用いて広報を行う“つむぎ発信所PJ”となったのです。
またもや苦難が!“つむぎVMVカード”で広報を行うために
その後、まとまったのは「つむぎ図鑑カードを作る」ということ。
メンバー自身がつむぎのこと、そして他のつむぎメンバーのことを知り、つむぎをもっと好きになる。そのための手段を議論した結果、ストレングスファインダー、パーソナルブランドブックの要素を簡単にまとめた図鑑を作り、すぐに見られるようにカード化することとなったのです。
また広報PJからつむぎ発信所PJへと変化したことにより減少してしまった、会社へ還元する価値を取り戻すため、サービス化も見据えて活動していくこととなりました。
しかしつむぎ発信所PJを、またもや苦難が襲います。
サービス化を見据えカード制作を進めていった結果、共感を生み出すには向いていない、社内でしか通用しないジョークや使い方を想定していない要素など、プロジェクトメンバーの楽しさを追求したインナーブランディング専用ツールとなっていってしまったのです。
ビジネスで直面しやすい、目的と手段が逆になってしまった典型の状況でした。
「つむぎVMVカードが生み出さなければいけない価値は何か?」
7月までのプロジェクト期間ギリギリまで議論が行われました。
最終的に、さまざまな遊び心を盛り込んで50枚にまで膨らんでいたカード数を、当時のメンバー+VMVの25枚にまで削り「メンバーとつむぎのことを知るためのツール」としての機能を特化させることに。
肝心の使い方については、PJの枠組みを超えて合宿へと議論を託すこととなりました。
まさにプロダクトアウト的なアプローチをしていくこととなった“つむぎVMVカード”。ですが、合宿において全メンバーが知恵を振り絞り、有益な使い方を見つけることができました。
それはマネージャー候補社員に向けたチームビルディングシミュレーションツールとしての使い方です。
内容は以下の通り。
1・カードをVMVの山札とメンバーの山札にそれぞれ分け、シャッフルします。
2・VMVの山札から一枚カードを引きます。引いたVMVカードは場におきます。
3・次にメンバーカードから一枚カードを引きます。引いたメンバーカードは、場のVMVカードの下におきます。例えば「高橋昂希」を引いたとしましょう
4・メンバーカードの山札を手札とし、場にあるVMVに対して、すでに選出されたメンバーが最も生産性を上げることのできる任意メンバーを選出していきます。
選出の際には、ストレングスファインダーの数値、自己紹介文、出身、性格、特技、必殺技を参考にしましょう。
(※)このゲームにおいて、VMVカードのVMVはすべて同列に扱います
例えば「働くがやりがいに、そして人生を幸せに」というVMVを引き、「高橋昂希」というメンバーを引いた場合。
「働くがやりがいに、そして人生を幸せに」に対して、「高橋昂希」が最も生産性を高められると考えるメンバーを選出し、仮想チームを組み上げていく。
そんなチームビルディングツールとしての役割が、合宿を経て、つむぎ図鑑カードに与えられることとなりました。
そして広報ツールとしての役割は、まさに今読まれているこの記事に託されることとなったのです。
おわりに
マーケティングでもなく、ブランディングでもなく、広報を行う。
当然であるその目的は、プロジェクトメンバーを大きく悩ませることとなりました。
今、広報の方法を考えるなら、手段はたくさん浮かびます。例えば社会課題とつむぎの活動の重なりを探しメッセージを打ったり、パーソナルブランドブックのノウハウを応用してアーティストを応援する活動をしたり。
しかし活動の中において判断力は鈍ってしまうものであり、冷静な判断をするのは困難を極めます。
さらには企業として変革の時期に行われたプロジェクトだったということも忘れてはならないポイントです。
つむぎ発信所PJは、立ち上げ初期のインナーブランディングに近いサービスが多かった時期から、企業として人事を通して組織づくりを行なっていく時期への過渡期に行われたプロジェクトでした。そのため、本来「つむぎ」を活動の主語として置くべきだったところを。従来の延長線上で「個人」に取り違えてしまっていたのでしょう。
反省、そして学ぶことの多かった、まさに脳に汗をかくプロジェクトでしたが、なんとか“つむぎVMVカード”という一つのアウトプットを生み出すことができました。
結果的に広報という目的の達成度合いは低くなってしまいましたが、こういった挫折を経験できるのも、つむぎのプロジェクト制度だからこそ。
目的と手段を入れ違えないこと、前提条件の確認、雰囲気の悪い状況でも進んでいかなくてはならないこと。
学んだことを、これからの業務やプロジェクトに活かし、「働くがやりがいに、そして人生を幸せに」というVissionへ進んでいきたいと思います。