肥後葬祭様で人材戦略支援を行うことになった背景

株式会社肥後葬祭は、 熊本県宇城市にある地域密着の葬儀社です。「“ありがとう”を紡ぐ」という経営理念のもと、記憶に残る時間を提供することを大切にしています。

肥後葬祭様では、元々全員がディレクターとして活躍しているフラットな組織体制でした。一方でスタッフが30名を超えはじめ、この先の成長を見据えた際に、会社を組織として整えていく必要を感じていました。

一般的に組織は30人、50人、100人のタイミングで成長に壁を感じるといわれています。肥後葬祭様の場合はまさにそのケースであり、30人を超えたタイミングではマネジメントが届かなくなってくるとされているのです。
こうした背景から、支援を行わせていただくこととなりました。

支援の内容

肥後葬祭様の支援では、会社と組織として整えるまでに3ステップ準備しました。
3つのステップはそれぞれ1・人材戦略支援、2・評価制度設計、3・幹部教育であり、ご支援は1・人材戦略支援からスタートしました。

人材戦略支援とは、一言で言うと未来の組織図を作る支援です。
まず現状の正社員・パート含めたスタッフを整理し把握します。同時に予想売上を用いてシミュレーションを実施。その数字を生み出すのに必要なスタッフ数を明らかにしていきます。
このシミュレーションを1年後、3年後、5年後、10年後と行っていくのです。
またシミュレーションから得られた内容をマネジメントの原理原則を合わせて考えると、ある程度、ベースとなる組織図や各ポジションに配置するスタッフ数が見えてきます。

一方で経営陣の判断で人員をどの役職、どのポジション、どの会館に配置するかを決め、場面も存在します。こうした点はディスカッションをしながら進めることになります。

会館にそれぞれにリーダーを置いた場合どうなるか、置かなかった場合どうなるか。スタッフを社員にした場合とパートにした場合、どんな差が生まれるのか?仮に社員を配置する場合は何人を配置できるのか。

そうして経営陣に協力いただきながら、1年後、3年後、5年後、10年後の組織図を作りあげていきました。

人材戦略支援の効果

人材戦略支援の効果として、リーダー候補が明確となったことが挙げられます。それまでは年功序列的に役職者を決定していました。そのため、冒頭にお伝えしたように役職者とほかのスタッフのできることはほぼ同じだったのです。

しかし人材戦略支援を通してリーダーに求める職能が明確となったことで、適切な能力を持ったスタッフがマネージャーとなる必要が出てきました。そのため現状の役職者にこちらの求めるスキルを伝えた上で意思を聞き、成長するための組織へと、体制変更を行うことができたのです。

また人材戦略支援を通してリーダーだけでなく各ポジションに求める職能を具体化できたことから、その後は各ポジションに求める職能を評価し報酬や役職に反映する2・評価制度構築へと進むことができました。

成功した要因

肥後葬祭様からは人材戦略支援をご満足していただき、次のステップへと進むことができています。
この要因として、肥後葬祭様ならではの調整を施したことが大きな要因だったのではないかと思っています。

人材戦略支援の最初の段階で現状を把握したところ、労働分配率が比較的高い数値であることがわかりました。そこで細かく現状の人員配置を確認すると、通常パートに任せるポジションを社員に任せていたことが理由だとわかりました。

この事実を認識したのち新たな組織図では、「そのポジションをパートのスタッフに任せてみてはいかがでしょう?」と提案したところ、そこには肥後葬祭様ならではの想いがあるとわかったんです。

肥後葬祭様は「“ありがとう”を紡ぐ」という経営理念を掲げており、お客様との交流を重要な事柄として捉えています。そのため、お客様と接する機会の多いポジションは社員に任せたいと考えており、そのポジションを社員に担当させていたのです。

ディスカッションを通し「今後も現状のように、お客様と接する機会の多いポジションは社員に任せたい」とご要望をいただき、その想いに合わせてベースの組織図を調整していきました。
この調整が大きなご満足に繋がったのだと考えています。

今後の展望

戦略人事支援における組織図の構築は、あくまで最初のステップです。
1年後、3年後、5年後、10年後の組織図が出来上がることで、求められる職能が明確化し評価制度構築ができるようになり、また未来にどんな人材がどれだけ必要かが明確になることで幹部教育が行えるようになります。

肥後葬祭様では現在、評価制度構築を終え、幹部教育へ順調にステップを進めており、つむぎらしい、深いご支援ができているのではないかと思います。
これからも肥後葬祭様が永続的に発展していけるよう、支援を続けていきたいと思っております。

つむぎコンサルタント:つむぎ株式会社 代表取締役 前田亮

1981年静岡県生まれ。2004年、慶應義塾大学卒業後、㈱船井総合研究所に入社。社内で初めてエンディング業界のコンサルティングに本格的に携わり、チーム、グループを立ち上げ、2017年から部長として組織マネジメントに携わる。2020年、人創り・組織創りの経験を活かした人材サービスを提供するつむぎ㈱を設立。お客様、社員に愛され、地域になくてはならない永続企業創りを人材戦略の面からサポートする。