葬援様へ支援を行うことになった背景
葬援様は、東京都日野市に拠点を置く葬儀社様です。2021年に創業し、創業社長である荻島様のもと、高いホスピタリティで多くのお客様から信頼を得てきました。
特に荻島様が帝国ホテルに勤務していた時代に培った「目配り」「気配り」「心配り」を取り入れた葬儀は、お客様から高い評価を得ています。
内部的にはこれまでトップダウン形式での成長を続け、葬儀業界で着実に業績を伸ばしていました。
葬援様へ支援を行うことになった経緯
こうした背景がある中で葬援様は今後の事業拡大、それに伴った店舗や部署の拡大を見据え、社員が自分で考え動くことのできる組織へ変革していきたいと考えていらっしゃいました。
そのため昨年末の時点で「終活事業を通して関わるすべての人を幸せにする」というミッションをはじめ、ビジョン・バリュー・行動規範といったものを完成させており、業務面でも効率化を進める観点から分業化を進行させているところでした。
一方でそれらの変化や既存の業務を正しく評価できる制度がないという状態であり、離職率は低いものの経験者が退職していってしまうという問題が生じてしまっていました。
こうしたことから荻島様は対策を検討されていたのです。
具体的には新たな社員の採用や育成、そして適正な評価制度が必要だとお考えになられていたといいます。そんな折に弊社主催の評価制度に関するセミナーのご参加いただき、今回の評価制度構築支援へとつながっていきました。
評価制度構築支援の内容
まず評価制度構築の土台として役員や幹部と協議し、理想とする社員像について議論していきました。その結果キャリアコースとして管理職を目指すルートだけでなく、個人の専門性を高めるプロフェッショナルコースも設定することが決まったのです。
組織構成としてはワントップ体制で社長が唯一の管理職として全社員を直接統括する形でした。そのためまず組織を機能ごとに4つのグループ・さらにその中で業務ごとに6つのチームに分類していきました。合わせて、それぞれに求められる役割やスキルの明確化を図っています。
また将来の見据え社員の成長を促進する観点で、昇進・昇格のラインダル職階を2段階から5段階に増やしました。
評価基準においては「業務スキル」「役職スキル」「マインド評価」「貢献評価」の4軸に基づき設定していきました。特に貢献評価では、プラス評価とマイナス評価の両面から見て適正な評価が行えるようにし整えています。
さらにボーナス査定もポイント化し、社員が獲得したポイントに応じて分配される仕組みを導入しました。
評価制度構築にあたり施した工夫
弊社の評価制度構築支援では、支援をご提供する企業様に合わせた評価制度の設計を重要視しています。
そのため、まずは荻島様とZoomを活用してオンラインで何度も議論を重ねました。
当初荻島様は、社長である自身が一人で作るべきか、葬祭部・労務部の主任を交えて作るべきかといった悩みを抱えていらっしゃいました。
しかし議論を経て葬援様の目指す未来においては評価制度に込めた意図を役員や幹部の方々にも共有するべき、という結論が導き出され、複数人で評価制度を設計していくこととなったのです。
その結果、役員や幹部へ荻島様の考える理想とする社員像を共有することができました。評価制度設計だけにとどまらない、いい会社づくりに繋がる大きな価値が発揮できたと考えています。
評価制度構築の成果
一つは、葬援様の幹部メンバーと社長が一丸となって評価制度を作り上げたことで、全員が同じ目標を共有するきっかけになったことです。これにより幹部の育成にもつながり、会社全体で一つの方向に向かっていく基盤ができました。
また、キャリアにおける目指すべき目標が明確化され、社長が評価を決めるのではなく、公平に評価される仕組みが完成しました。
今後の目標
葬援様は今後も店舗展開を積極的に行い、4年間で売上を2倍にするという成長目標を掲げています。今後も人事の課題に悩むことなく、事業の成長に集中していただけるよう、この評価制度がその一助となればと願っています。
つむぎコンサルタント:寺嵜 孔希(てらさき こうき)
大手経営コンサルティング会社に約8年間勤務したのち、「信念のある人を大切にする会社をサポートしたい」という想いのもと、2023年1月からつむぎにジョイン。ストレングスファインダーの認定コーチ資格を保有しており、30~50名規模の葬儀社、また経営者向けストレングスコーチングとして、エステサロン経営者などへのコーチング実績も持つ。