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近年、産業廃棄物業界では人材確保の難しさや、業界自体への社会的理解の低さが経営課題として浮き彫りになっています。

現場では社員が誇りを持って働いているにもかかわらず、外部からは「きつそう」「危険そう」といった古いイメージが根強く残り、応募すら来ないという声も少なくありません。

また、せっかく理念やビジョン、働きやすさの工夫など、良い取り組みを行っていても、「誰にも伝わっていない」ままでは価値になりません。

これからの採用・定着・企業評価においては、“内と外への発信力”が不可欠です。

本記事では、産業廃棄物業界における広報・ブランディング・インナーコミュニケーション(社内発信)の重要性と、実践事例・施策をわかりやすく解説します。

なぜ伝わらない?業界イメージと採用難の根本原因

産業廃棄物業界は、社会的意義の高い仕事を担っているにもかかわらず、世間からのイメージは必ずしも良いとは言えません。多くの人が持つ「3K(きつい・汚い・危険)」という古い印象が、依然として根強く残っており、若手の応募を妨げる要因になっています。

さらに、情報発信に関するノウハウが業界内で十分に蓄積されておらず、自社の魅力や取組みを適切に伝えることができていない企業も多く見られます。SNSやホームページといった基本的な発信ツールが整備されておらず、また、発信内容も担当者任せで一貫性を欠いているケースが少なくありません。

加えて、地域住民や行政、排出事業者といったステークホルダーとの関係づくりの場が限られており、会社としての取り組みや理念を知ってもらう機会が不足しています。

内部に目を向けても、現場が点在しやすい業界特性ゆえに、「自分は何のために働いているのか」「会社はどこを目指しているのか」が社員に伝わっておらず、結果として分断や孤立が生まれていることも課題です。

頭を抱える中年ビジネスマン

「採用広報」「社内報」「SNS」──いま企業に必要な“伝え方”の基本

情報発信には、大きく「外部向け(対求職者・地域・社会)」と「内部向け(対社員)」の2つの視点があります。

外部向けの発信としては、まず「コーポレートブランディング」があります。これは、企業としての姿勢や理念、社会的意義を発信するもので、信頼と存在感を高める土台となります。

次に「採用広報」。採用ページや求人票の内容、社員の声や働く姿を載せたSNS投稿などを通じて、自社の職場の雰囲気や価値観を伝えていく活動です。また、業界誌や地域メディア、noteなどのSNSを活用した「メディア発信」も、企業としての認知を広げる手段となります。

一方、内部向けの発信、いわゆる「インナーコミュニケーション」では、月1回の社内報や掲示物、チャットツールの活用といった情報共有手段が挙げられます。

理念やビジョンの共有も重要で、朝礼や1on1面談の場で「会社として大切にしたい価値観」を繰り返し伝える習慣が求められます。さらに、理念に沿った行動を表彰する制度や、理念をいつでも確認できるカードの配布なども有効です。

これらの取り組みをバラバラに進めるのではなく、「企業の伝え方の設計」として一貫性を持たせることで、社内外の信頼や一体感を築いていくことができます。

Two businessman engineer developer shaking hands with business d

発信力こそ、採用・定着・信頼のカギ──産廃業界に広報が必要な3つの理由

今、産業廃棄物業界にとって「発信力の強化」は避けて通れない経営テーマとなりつつあります。その背景には、次の3つの理由があります。

理由①:採用市場で“選ばれる会社”になるには、言葉とビジュアルが必要
採用難の時代においては、待っていても応募は来ません。求職者にとっては、「どんな会社か」「何を大切にしているのか」「どんな人が働いているのか」といった情報が判断材料になります。そのためには、理念や職場の雰囲気を言葉とビジュアルでしっかりと伝える工夫が必要です。

理由②:現場主義・属人性が強いため、共通言語としての理念や価値観が必要
現場が分散しがちで、担当者ごとの判断に頼りやすい業界構造においては、組織全体としての「共通の価値観」が求められます。理念やビジョンを共有することで、日々の判断や行動に一貫性が生まれ、社員の方向性を揃えることができます。

理由③:地域や行政、排出事業者との関係性も「発信力」で強化できる
社会的信頼は、一朝一夕では築けません。日ごろから活動内容や姿勢を発信することで、地域や関係者との信頼関係を深めることができます。透明性のある企業であることを示すためにも、積極的な情報発信は不可欠です。

「伝わる採用ページ」から始めよう──“いい会社”を発信する第一歩

実際に外部向けのブランディングを進めるには、まず基本となる情報の整備が重要です。たとえば、採用ページの見直しでは、「理念」「ビジョン」「社員の声」などを掲載することで、求職者が共感できるストーリーを届けられるようになります。

また、noteやSNSを使って現場での取り組みや仕事の魅力を発信することも効果的です。文章が得意でなくても、写真や短いコメントだけでも十分に現場のリアルを伝えることができます。

ホームページの写真やキャッチコピー、求人票の表現も定期的に見直しましょう。「伝えるための言葉」が社内に蓄積されていくことで、求人や営業、説明会などさまざまな場面で活用できます。

さらに、地域メディアや業界誌への寄稿や、プレスリリースを出すことで、社外への認知度を高めることができます。自社の活動を客観的に紹介してもらうことで、第三者評価の信頼も得やすくなります。

Technology in the hands of businessmen

「社員が理念を語る会社」に──現場から始める社内発信の仕組みづくり

社内向けの情報発信も、社員のエンゲージメントや定着率向上のカギを握っています。たとえば、月に1回発行する社内報や、作業場や食堂に掲示するポスターなどは、身近な情報に触れる機会をつくるうえで有効です。理念カードの配布も、日常的に価値観を意識するためのツールとなります。

また、朝礼や1on1面談のなかで、企業のValue(価値観)を繰り返し共有することも効果的です。言語化して伝える習慣があるだけで、組織内に「共通認識」が育っていきます。

さらに、理念を体現している社員を表彰する「Valueアワード」のような制度を導入すれば、価値観が行動に結びつきやすくなり、職場に前向きな空気が生まれます。

こうした発信は、M&Aや事業承継など「文化の統合」が必要なタイミングでも有効に機能します。複数の現場が一体感を持つためには、「共通の言葉」が必要なのです。

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広報は苦手でも大丈夫?──よくある3つの疑問とその答え

Q. SNSが苦手でもブランディングはできますか?
A. はい。まずはホームページや採用ページの見直し、紙の社内報からでも効果はあります。

Q. 担当者がいない場合、どう始めれば?
A. 経営者や現場リーダーが週1回のメッセージを発信するなど、小さな行動から始められます。

Q. 古株社員が「そんなのいらない」と反発したら?
A. 理念や活動の意義を“対話”で伝え、巻き込む工夫が必要です。表彰制度などで肯定的に評価する仕組みも有効です。

「何から始めれば?」と感じたら──まずは無料相談・つむぎのnote事例をご覧ください

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伝えなければ“存在しない”──発信が組織と社会をつなぐ時代へ

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発信しなければ、“存在しない”のと同じといっても過言ではない現在。
産業廃棄物業界の価値ある仕事を、社員・地域・求職者に伝えることが、これからの経営には不可欠です。
まずは、小さな一歩から。自社らしい「伝え方の戦略」を始めてみましょう。