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「理念をつくったはいいけれど、社員に伝わっていない」「日々の仕事と無関係に感じる」こうした声は、産業廃棄物業界でも多く聞かれます。

採用難・定着難・承継問題など、組織づくりが問われる今の時代において、理念(Vision・Mission・Value=VMV)は単なる飾りではなく、経営の軸であり組織を動かす力です。

しかし、現場が分散し、作業中心の職場環境では「理念なんて関係ない」と捉えられがち。

そこで本記事では、理念を“現場で活きる力”に変えるための5つの浸透施策と成功事例を、産廃業界の実態に即して解説します。

「なぜこの仕事をしているのか?」が伝わらない現場に理念が必要な理由

産業廃棄物業界は、社会全体の安全と環境を支える非常に意義深い仕事を担っています。しかしその一方で、働いている社員自身が「この仕事にどんな価値があるのか」「自分はなぜこの仕事をしているのか」を実感しづらいという課題があります。

さらに、収集・運搬・処理など業務が多拠点にまたがり、社員同士が物理的に離れて働くことも多いため、会社としての一体感が育ちにくいのも業界の特徴です。

特に若手世代にとっては、仕事内容だけでなく、「この会社がどんな想いで仕事をしているのか」「自分が何に貢献しているのか」といった“共感”が、入社や定着の大きな判断基準になります。

もし理念が社内で共有されていなければ、社員ごとに行動基準がバラバラになったり、判断が不一致になったりします。その結果、職場の雰囲気や風土が悪化し、離職率が上昇したり、社外に向けた発信と実態がかけ離れてしまい、企業の信用にも悪影響を及ぼすことがあります。

だからこそ、理念は「一度つくって終わり」ではなく、「現場で日々使われ、共感され、行動に落とし込まれること」が必要なのです。

「理念がある会社」と「理念が“生きている”会社」の違いとは?

理念が社内に浸透しているかどうかは、組織の雰囲気や日々の判断に大きな影響を与えます。以下は、理念が浸透していない会社と、しっかりと根づいている会社の違いを比較したものです。

Before(浸透していない状態)では、理念が抽象的な言葉のまま社員に届いておらず、朝礼で年に数回読み上げる程度。経営層は理念の重要性を理解しているものの、現場の社員は「よくわからない」「自分には関係ない」と感じてしまいがちです。

一方、After(浸透している状態)では、社員自身が理念を自らの言葉で語れるようになり、現場での判断や行動の基準として実際に活用されています。また、理念が採用活動や評価制度にも組み込まれており、「何が大切にされているのか」が組織のすみずみにまで伝わっています。

このように、理念が実際の仕事や人事制度とつながることで、「実感としての意味」が生まれ、社員一人ひとりが自分の役割を前向きに捉えるようになります。

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「額縁の中の言葉」を「現場で生きる力」に──理念浸透のための5つの工夫

理念を単なる“額縁の中の言葉”ではなく、現場で活かされる“生きた価値”にするためには、日常業務の中に自然と組み込んでいくことがポイントです。ここでは、産廃業界の現場でも実践可能な5つの施策をご紹介します。

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施策①:重要な場で繰り返し伝える
理念を定着させるためには、「繰り返し伝える」ことが基本です。たとえば、毎週の朝礼で理念を全員で唱和するだけでなく、経営者やリーダーがその日の仕事に照らし合わせて短く意味づけを加えることで、社員にとって“自分の仕事とのつながり”が見えるようになります。「なぜこの理念があるのか」「どう行動につながるのか」を語ることが、腹落ちの第一歩です。

施策②:理念を体現した社員を「見える化」する
言葉だけではなく、実際の行動を通じて理念を感じられるようにしましょう。たとえば、「お客様の安全を守る行動をした」「仲間を気遣う行動をした」といったエピソードを社内で紹介し、表彰したり掲示板に貼ったりすることで、称賛の文化が育ちます。「あの人の行動が理念につながっている」と感じられることで、周囲の行動も変わっていきます。

施策③:評価制度と連動させる
理念を浸透させるうえで最も強力な方法のひとつが、「評価とつなげること」です。たとえば、Value(価値観)に基づいた行動を評価項目に取り入れ、「チームの安全を守る働きかけがあったか」「仲間への配慮を見せたか」といった具体的な行動基準に落とし込むことで、理念が日々の行動に結びつきます。

施策④:研修・教育に組み込む
理念の定着には教育の力も欠かせません。新入社員研修では、なぜその理念が生まれたのか、どんな背景や思いが込められているのかをしっかり伝えましょう。また、中堅社員には「理念を現場でどう伝えるか」「部下にどんな声かけをするか」といった“体現者”としての役割を意識させる研修を行うことで、組織内での再浸透を図ることができます。

施策⑤:採用や社外広報にも活用する
理念は社内向けのものだけではなく、外部に向けても「この会社が何を大切にしているのか」を発信する役割を持っています。採用ページや会社案内パンフレット、企業説明会などで理念を打ち出すことで、「この会社の考え方に共感できる」と思ってもらえるきっかけになります。また、地域社会や行政、取引先に向けた発信でも、理念を土台に置くことで一貫した姿勢を示せます。

「理念は現場に響かない?」に答える──よくある課題とその解決策

Q. 社員が理念に関心を示さない場合は?
A. 「自分ごと化」できていないだけです。日常の仕事にどう関係するかをリーダーが語ることが鍵です。

Q. 理念の言葉が抽象的で活かしにくいです
A. Valueなどを「具体的な行動例」に翻訳しましょう(例:”誠実”→”報連相を丁寧にする”)

Q. 少人数の会社でも施策は実行できますか?
A. はい。朝礼での共有や評価制度連動など、小さなアクションから始めることで効果が出ます。

「どう始めればいい?」に応える──理念浸透支援と成功事例はこちら

もし「どこから手をつけていいかわからない」「どんな施策がいいのか?」と感じられた場合は、ぜひお問い合わせをいただければと思います。中小企業の人事領域に対し豊富な知見を持つコンサルタントと、30分間無料でご相談が可能です。

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つむぎではこれまで理念浸透を実施する施策を数多く展開してきました。なかでも多くのお客様にご満足いただいているのが、理念浸透を目的とした社内報の発行です。成功事例をまとめた記事がございますのでぜひご確認ください。

〈社内報編〉つむぎコンサルタントによる成功事例【ながたに生花様】

理念浸透施策に関係する記事は下記にもまとめています。この機会にぜひご一読ください。

「3K」と呼ばれる産業廃棄物業界にこそ理念(VMV)が必要!その理由と導入メリットをご紹介

地域に愛され、永続する計画づくりを。産業廃棄物業界のための中期経営計画を解説

社員の頑張りを評価し離職を防止 産業廃棄物業界に評価制度が必要な理由と導入ステップ

「理念は現場の背中で語られる」──日々の仕事に“意味”を灯す小さな一歩から

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理念(VMV)は、“社内で活かされて初めて意味のある経営資産”です。
産廃業界のように、仕事の意義が見えづらく、現場が分散する業態こそ、理念を通じた一体感が重要です。
まずは、朝礼や掲示板といった小さな一歩から。
自社らしい「理念の活かし方」を見つけ、定着させていきましょう。