トラックの前でガッツポーズをする作業員
「求人を出しても反応がない」「せっかく採用しても短期間で辞めてしまう」

こうした声が、産業廃棄物処理業界の中小企業から数多く上がっています。

その背景には、少子高齢化による労働人口の減少、業界に対する根強いネガティブイメージ、他業界との人材獲得競争の激化といった複合的な課題があります。

もはや、従来のような“待ちの採用”では人材を確保できない時代に突入しているのです。

本記事では、産廃業界における中途採用の意義を改めて整理しながら、現場で直面している課題とその背景、そして定着率向上を見据えた実践的な採用戦略について詳しく解説します。

なぜ“いい人”が来ない?中途採用が失敗する3つの落とし穴

産業廃棄物業界で中途採用が思うように進まない背景には、大きく3つの課題があります。

1つ目は、「求人票や仕事内容が魅力的に伝わっていない」こと。業界に対する先入観や誤解がある中で、求人票に明るい職場の雰囲気ややりがいが十分に表現されていないと、「きつそう」「自分には向いていない」と敬遠されがちです。

2つ目は、「自社の強みや社風、働きやすさを発信できていない」こと。他業界との人材獲得競争が激化するなか、自社の魅力を言葉や写真で“見える化”できなければ、選ばれる確率はどんどん下がっていきます。

そして3つ目は、「採用後の教育やフォロー体制が不十分で、せっかく採用しても定着しない」こと。初期の段階で不安を放置したり、現場任せにしてしまうことで、本人のやる気が続かず、早期離職につながってしまいます。

頭を抱える中年ビジネスマン

「あと数年」で現場が回らなくなる──今こそ中途採用を見直すべき理由

現在、多くの産廃企業では、これまで支えてきたベテラン社員の高齢化が進み、年齢的にも身体的にも近い将来の退職が見込まれています。そうした状況の中、経験を持った即戦力の中途人材をいかに確保するかが、経営の持続性を左右する大きな課題となっています。

さらに、法改正への対応や電子マニフェスト・事務処理のデジタル化といった変化に適応するためには、柔軟な発想やデジタルスキルを持つ新しい人材の受け入れも求められます。これまでのやり方だけでは通用しない時代に突入しているのです。

また、収集・運搬・処理などの現場では、慢性的な人手不足により、少ない人数で業務を回さなければならない状態が続いています。この負担を軽減し、社員の安全や働きやすさを守るためにも、安定した人材供給体制の構築が急務となっています。

だからこそ、今このタイミングで採用の仕組みを見直し、継続的に人を採り育てられる体制を整えておくことが、将来の組織基盤を強くする第一歩なのです。

マネージメントによるリスク回避のイメージ

中途採用を成功させる5つのステップをご紹介

中途採用で成果を出すには、「なんとなく求人を出す」から脱却し、戦略的にステップを踏んでいくことが重要です。以下の5つのステップがその基本となります。

STEPS
Step1:採用ターゲットの明確化
まずは「どんな人を採りたいのか」を明確にします。経験者を優先するのか、未経験者でも育てる前提なのか、資格保有者に限定するのかなど、ターゲット像をはっきりさせることで、求人内容の設計も的確になります。

Step2:求人票・採用ページの見直し
仕事内容の説明だけでなく、「どんなやりがいがあるのか」「どんな雰囲気の職場なのか」を具体的に伝えましょう。社員の声や写真、1日の流れなどを盛り込むと、応募者の不安を払拭できます。

Step3:SNSや動画を活用した採用広報の強化
InstagramやYouTubeを活用して、現場の空気感や社員のリアルな声を発信することで、「ここで働く自分」がイメージできるようになります。動画はとくに信頼性・共感性が高く、多くの中小企業でも成果が出ています。

Step4:面接〜選考時における“相互理解”と応募者不安の払拭
面接では企業側が一方的に評価するのではなく、応募者の不安や疑問に真摯に向き合う姿勢が大切です。現場見学や先輩社員との面談などを通じて、「ここならやっていけそう」という安心感を持ってもらう工夫が求められます。

Step5:入社後のオンボーディングと育成支援体制の構築
入社初日の対応が、その後の定着を大きく左右します。理念の共有、社長や上司からのメッセージ、職場見学などを組み合わせ、スムーズな立ち上がりをサポートしましょう。また、育成計画やOJT指導者の明確化も不可欠です。

中途採用の現場でよく聞かれるQ&A──最初の一歩はここから

Q. 中途採用は経験者が前提ですか?
A. いいえ。未経験でも教育体制があれば十分活躍可能です。資格支援制度があると有効です。

Q. ハローワーク以外で効果的な採用チャネルは?
A. SNS活用、採用ページ、専門求人サイト、社員紹介制度などが効果的です。

Q. 採用コストを抑えたいが、何から始めるべき?
A. まずは求人票の見直しと、初期対応(見学・社内紹介)の整備が重要です。

「どこから始めれば…」と迷ったら──無料相談・事例紹介はこちら

もし「どこから手をつけていいかわからない」「どんな制度がいいのか?」と感じられた場合は、ぜひお問い合わせをいただければと思います。中小企業の人事領域に対し豊富な知見を持つコンサルタントと、30分間無料でご相談が可能です。

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つむぎではこれまで多くの中小企業様に採用支援をご提供してまいりました。中途支援に関する成功事例をまとめた記事がございますので、ぜひご参考にしてください。

<中途採用編>つむぎコンサルタントによる成功事例紹介【ながたに生花様】

中途採用に関係する記事は下記にもまとめています。この機会にぜひご一読ください。

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産業廃棄物業界の理念(VMV)は“作って終わり”ではない 社内に浸透させる5つの実践施策

激動の産業廃棄物業界で生き残るために必要な、戦略人事とは?

採用は“組織を強くする第一歩”──今ある求人と受け入れ体制から整えていこう

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産業廃棄物業界において、中途採用は単なる人材補充ではなく「組織を支える基盤強化」です。
人が集まりにくい今だからこそ、“伝え方”と“受け入れ方”を見直し、定着までを含めた中途採用戦略を設計しましょう。
まずは、自社の求人票と初期対応から、改善の一歩を踏み出すことが成功への近道です。