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当社が主催する、『人財』を自社の強みとしている企業が集うコミュニティ「つむラボ」。
同コミュニティでは年に1〜2回ほど、その模範となる企業に視察を行っています。2023年12月19日(火)はその一環として、全国展開している「おふろcafé」や、里山リゾート施設「O Park OGOSE」を始めとした温浴宿泊施設の開発・運営を行う株式会社ONDOホールディングスの視察が開催されました。
今回は代表取締役の山﨑様に講演をいただき、理念や会社の制度、働く環境づくりで意識していることなどを伺えたので、その内容をお届けしていきます。

株式会社ONDOホールディングス視察レポート

組織で理念を追い求めるために メンバーを巻き込む重要性

当日は、お昼過ぎに集合。普段オンライン上でしか顔を合わせたことがないというコミュニティメンバーも多数おり、「やっとお会いできましたね!」と名刺交換をするシーンなども多く、とても良い雰囲気でした。

講義が始まると、みなさん、真剣な表情で耳を傾けていました。中でも印象の残った出来事を3つに分けてレポートしておきます。
まず1つ目は、山崎氏の起業への想いとその強さです。

起業について「世の中にインパクトを与える方が結果的に教育に繋がると思い、起業家の道を歩もうと思った」とお話ししてくださった山崎氏。

そうして、お風呂を軸としてお風呂に衣食住の文化を詰め込んで発信拠点としようというコンセプトのもとご縁のあった玉川温泉を引き継ぐ形で起業しました。
その後は「新しい業態を作りたい」おふろcafeを開き、野球、鯖、パン、チーズケーキなどを事業として展開していきました。
なぜこれほどの多角的な経営になったのか。そこには起業したばかりの頃に出会った、ある言葉があるといいます。

「起業したばかりの頃、埼玉県から、【消滅可能性都市】というものが発表されたんです。
これは2040年までに20歳から39歳の女性人口が5割以下に減少すると推計される自治体のことで、近い将来、自治体として存続できなくなってしまう可能性があることを知らせるものでした。秩父市、飯能市、行田市、三郷市、北本市、吉見町、寄居町など6市6町が該当しています。
これをみたとき『お店だけで集客しても仕方がない。外からも人が来るようなテーマを考えないと。』と思ったんです。」

そうして様々な事業領域へ展開する今のスタイルが確立されたと話してくれました。
5年、10年と一緒に仕事をしているメンバーについては、社長による新規事業の提案については驚かれないとか(笑)

一方で、比較的新しいメンバーからは「社長、何言ってるんだ?」と困惑されることも、当然ながらあったとといいます。
ホールディングス化といった規模の拡大にともない、そういった問題は顕著になっていきました。そこでコンセプトをアップデートし、メンバーみんなが自分事として捉えられる言葉を作ることに。
そうしてメンバーとワークショップを行い「地域を沸かそう」という、ONDOホールディングスならではの言葉が生まれたのだといいます。

そのほかにも【ビジョンマップ】と呼ばれ、ONDOホールディングスのビジョンをイラストにまとめたものを制作したり、温泉の源泉の色を活かした名刺をつくったりといった、理念に基づいた会社の仕組みを作っている同社。

始まりにあった想いを大切にしながら事業を進めていく姿勢が素敵なことはさることながら、それをメンバーみんなで追えるものへとアップデートしたことも素晴らしいことだなと思いました。
想いや志は大切ですが、一人だけでそれを追ってしまうと組織がうまく行かなくなってしまう。
バランスをとりながら、メンバーを巻き込んでいくことが大切なんだと感じました。

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理念に紐づいたユニークな制度が強みとなる

二点目に印象に残ったのは働き方や育成の仕組みに関する点です。

温泉道場さんには「ゴーアウト20」という制度があります。
これは月20日の勤務のうち、4日間は自分の部署ではない仕事をするという制度。その4日間は横軸のプロジェクトチーム(サウナ部屋を作ったり)での活動があったり、研修があったりする時間となります。

この制度は、代表の山崎氏が前職時代に学んだことが生かされているそう。前職時代に人事制度などを勉強するためにGoogleやSalesforceといったグローバル企業の働き方を勉強しており、それを田舎で実践したらどうなるか、ということで実施しているのだといいます。

また部署を超えたプロジェクトが多数あり、部署外とメンバーとの交流が盛んなことも、温泉道場の働き方の特徴の一つです。
人材育成の観点から、選択式の研修や指名式の研修を取り入れており、特にデザインやクリエイティブの研修はメンバー全員が受けるようになっているそう。
デザイン経営という考え方も大切にしており、意思決定者がデザインリテラシーを身につけてほしいという想いが込められています。
「デザインをデザイナーだけでやっていくと良いことや良いデザインを経営に活かすことができない。社長の次のラインのポシジョンのメンバーが、デザインのフィードバックをできた方が組織としてスムーズに良い活動ができる。
その際、雰囲気ではなくロジカル的にフィードバックをしてほしいので、この制度を実施しています。」と山崎氏。

加えて新卒にはブラザーシスター制度を設けており、同じ店舗の先輩後輩で斜め上の上司がメンターで月に1回、他のチームにいって勉強しているといいます。

人的資本経営が大きなトピックとして存在する現在。教育や福利厚生など、理念と密接に結びついた制度の実施が望ましいとされていますが、その効果を測定することは難しく実践に至っていない企業も多いのではないでしょうか?

しかし山崎氏のお話を伺っていると理念と結びついたそういった制度の実施は、効果がある・ないといった軸で図るべきではないのかもしれないと感じました。
「それをしなければ会社として、辻褄が合わない。おかしくなってしまう。」温泉道場の事例からは、そんな想いを強く感じたのです。

理念と密接に結びついた制度とは、その会社がその会社であるために必要な、いわばアイデンティティそのものなのかもしれません。
そうであるならばきっと、そういった制度を続けていくことで結果的に、業績が向上し効果が現れてくるのではないでしょうか?

意思決定の多さが、成長を加速させる

最後は、社員が主体的に挑戦できる環境が整えられているという点。

起業家育成講座を行っていたり、定期的に社内ベンチャーピッチが開催されているといいます。
また【温泉道場ゼミ】という活動もあり、通常業務と完全に直結はしないものの教養を広げるため行われ、休日に開催されているそう。
色々なサービスを体験したり、マーケティングの勉強をしたりして、インプットしているそうです。

加えて元Apple Japanの社長さんを講師に招きリーダーシップを育む【リーダーシップ研修】を行ったり、採用広報を2年目〜4年目のメンバーが担ったりと、自身の持つ能力を伸ばせる環境が揃っています。

「特に大事にしているのはリーダー育成です。5人の社長、10人の社長をグループカンパニーで出していくことを考えていて、大事にしながら活動しています。
現状候補が2人いて、4人は見えてると言うような状況ですね。30歳を目安に社長をやりたいという覚悟がある人には積極的にお願いをしています。

私は28歳で起業し、意思決定をたくさんしたことで成長してきました。そのためなるべく若いうちに、大小、様々な意思決定をしてもらいたいんです。

そう言った考えから、店舗の支配人店長も20代が多いんですよ」と山崎氏。
HRと呼ばれる領域の業務をしていると、必ずと言っていいほど直面する「成長とは?」という問い。
山崎氏は自身のこれまでを振り返りながら「意思決定をたくさんしたことで成長してきました」とおっしゃっており、大きな納得感がありました。

意思決定をするということは、何を良いと感じ、何を悪いと感じるかを知ること。そして何かを選び、何かを捨てるということ。これを繰り返しを行うことで、自身の価値観が明確になり、進むべき道も見えてくるのだと感じました。

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本日の内容について皆さんが感想を共有し合う時間が印象的でした

講義前は、施設見学の時間もありました!

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まとめ

株式会社ONDOホールディングス視察レポート

 

様々な角度で勉強をさせていただいた今回の視察。「個性を活かすことを大切にしている」というメッセージが一番素敵だなと思いました。人材育成、組織開発、研修制度などにおいてあらゆる視点で物事をみて施策を実行し、PDCAを高速で回しながら変化し続けられている姿が印象的でした。

若い世代に挑戦の機会を創出し、変化を恐れずに楽しみながら、会社の経営をされているのが実際にお話しをいただいている姿からとても感じる講義でした。

私自身も、今回の視察を通じて何事にも楽しみながら挑戦し成長することに対して貪欲に取り組んでいきたいと改めて思いました!