つむぎが大切にしているサービスの一つである「パーソナルブランドブック」。これは弊社の「紡ぎ手(※)」が社員お一人おひとりにインタビューを行ない、それぞれのオリジナルストーリーを紡ぐサービスです。

インタビューを通して、仕事のやりがいやご自身の想いを実感してほしい。
出来上がったストーリーを、これから働くエネルギーにしてほしい。

一人ひとりが仕事に対してやりがいに満ち溢れ、成⾧し、活き活きと働く未来へ少しでも近づけるように、日々想いを込めて制作しています。

そんな私たちに、先日願ってもないメッセージが届きました。それは、これまでに二度パーソナルブランドブックを制作させていただいた、株式会社会津屋の代表・舩山様から。

その感動の一部始終を、紡ぎ手・上田がレポートさせていただきます。

※紡ぎ手:インタビューや執筆を手がける弊社メンバーの呼称

ある日届いた、感謝のお手紙

先日、つむぎ代表の前田のもとへ舩山様から連絡が入りました。送ってくださったのは、お客様から届いたお手紙の写真です。


以下、お手紙より抜粋

此の度は、“会津屋たより”を送って下さいまして有難うございました。
その中でふと目に止まりました「奇跡を起こした“アジフライ”」。
我が家の出来事だったのではと、あの時の光景が鮮明に思い出され、涙があふれてしまいました。改めて真里さんありがとうございました。

お手紙には、会津屋様が作成された「会津屋たより」の中で、とあるパーソナルブランドブックに載っていたご自身のエピソードがふと目にとまったこと。そして、担当スタッフや会津屋様への溢れる感謝が丁寧に綴られています。

これを見た前田は思わず涙ぐみながら、つむぎメンバーへこの感動を共有してくれました。

パーソナルブランドブックで紡いだ想いが、それを読むお客様にとっても人生を豊かにする一助となり、それが巡り巡って働き手のやりがい向上にも繋がっていく……。

まさに私たちが生み出したい循環を、体現できた出来事だったのです。

はじまりは、社員を想う心

お手紙で取り上げていただいた、「奇跡を起こした“アジフライ”」のエピソードを含んだパーソナルブランドブック。これを制作したのは、2021年の初夏のことでした。

株式会社会津屋は新潟県に拠点を持つ葬儀社です。「人の心をより豊かにする」を企業理念に、県内に複数のホールを展開しています。

会津屋様との最初の接点は、弊社が行なう「経営者インタビュー」というサービスでした。インタビュー中、代表の舩山様から何度も出てきたのが“社員”という言葉。社員と共に会社を創っていきたい……出来上がった記事には、そんな社員への想いが溢れています。


▼会津屋・舩山様へのインタビュー
https://mission-company-story.jp/interview/587/

そこで舩山様にパーソナルブランドブックをご紹介したところ、二つ返事でプロジェクトがスタートしました。その中で制作したストーリーの一つが、富樫真里様の「奇跡を起こした“アジフライ”」です。

以下、本文より抜粋

あるお父様のお葬儀。
奥様と子どもたちと話を交わしていて、「もう少し何かできることはないかな」と探していたところでした。会食で接遇をしていた際に、ふとご家族様が「お父さんにエビフライ食べさせてあげたかったね」「お父さんソースいっぱいかけていたよね」と会話を交わされていたのを耳にしました。

なんとか揚げ物をご用意しようと、スタッフと相談してお店を回りました。本当はエビフライを見つけられたらベストでしたが、購入することができず。たまたまスーパーで発見した、アジフライをなんとか発見し、出棺の時間に備えました。

アジフライをお渡しすると、お母様から一言
「そういえば、お父さん、生前最後に食べたのがアジフライだったんです」とびっくりされました。「用意するの忘れてたね、そこまで気が回らなかったわ。本当にありがとう」と、ご家族様にとても喜んでいただきました。

会食のお時間がなければ、エビフライを発見できず、アジフライをご準備していなければ、生まれることはなかった時間でした。偶然が重なった出来事かもしれませんが、故人様のお別れにふさわしい必然の瞬間が生まれたように捉えています。

エビフライを探す中でたまたま見つけたアジフライが、故人様の最期に食べたものだった……。まさに奇跡的な出来事。でもこの奇跡を起こしたのは紛れもなく、「もう少し何かできることはないかな」と最後まで力を尽くした富樫様の心遣いだと、私は思います。

「いまだに子供達と主人との思い出を語り合う時に、必ずアジフライの話題があがります(これからもずーーーっと)」(ご遺族様のお手紙より)

富樫様にとって忘れられないものとなったこの出来事は、2年経っても思わず筆をとって感謝を伝えたくなるほど、ご遺族様の中で大事な思い出になっていたのです。

▼富樫様のストーリー全文はこちら
https://murakamitainai-sougi.com/staff/detail.html?id=2705

紡ぎ手が語る、ブランドブックの価値

まさに“奇跡”が生んだ奇跡。その橋渡しとなったパーソナルブランドブックの担当者である、紡ぎ手の林将寛に当時を振り返ってもらいました。

−−富樫様へのインタビューで印象に残っていることを教えてください。

会津屋様が大切にされている「記憶に残る“感動葬儀”」。アジフライのエピソードはまさに、それを体現したような出来事だと感じました。

富樫様は、ご遺族様と故人様の思い出話を深く聴くことを大切にされている方で。そうした心がけから引き出せたのが、「エビフライが好きで、ソースをたっぷりかけていた」というエピソードでした。

それならば揚げ物を用意しようと思って、スーパーまで買いに行った富樫様。きっと「故人様にとっていい供養になるように」「思い出に残るようなお見送りになるように」……その一心でなされた行動だったと思うんです。

そしてこの行動は富樫様だけでなく、ご葬儀をともにお手伝いしたスタッフと相談して決めたこと。会津屋スタッフとご遺族の皆様、皆で葬儀をつくり上げていきたいという想いを大切にしていたからこそ、できたことだったのでしょう。

エビフライの代わりに見つけたアジフライ。偶然だったかもしれないけど、それがご遺族様も思い浮かばなかった思い出を蘇らせた。

私はそれを“奇跡”と形容しましたが、富樫様がご遺族様のために一生懸命に動いたことが、新しいストーリーを生んだのだと思っています。

−−なぜ、このタイトルにしようと思ったのですか?

これには、私の書き手としての想いも関わっています。私がストーリーを形にするときに大事にしているのが、読者が一目見たとき「なんだろう」「読んでみたいな」と思ってもらうこと。それが叶うかどうかは、タイトルや導入文に大きく左右されます。

だからこそタイトルでは、パッと興味を惹くものであること、そしてその人らしさが一言で現れるようなキーワードを入れることを心がけているんです。

それに加え、会津屋の皆様は葬儀やお客様に対して軸や芯を持った方ばかりでした。共通して大事にしている想いも多かったため、より個性が出る「その人らしさが体現されたエピソード」をハイライトにしたいという想いもあったんです。

富樫様の場合はやはり“アジフライ”が象徴的だったため、思い切ってタイトルに入れようと決めました。

−−ご遺族様からの感謝のお手紙を見たとき、何を感じましたか?

2年も前に作ったものが、時を経て再びご縁を紡いだこと。
その奥深さに対し、純粋に「すげぇ」と思ったのが率直な感想です(笑)

こうして関わった人々の間で思い出や感謝が積み重なることは、日々生きていく上で元気の源になってくれるんじゃないかと、改めて感じさせられました。

大切な方が亡くなるという体験には、第三者がどれだけわかろうとしてもわかり得ない悲しみや喪失感があります。その中で、気持ちを受け入れたり切り替えたり、残った自分達がどう生きていくのかを考えたりするのは、簡単なことではありません。

でもそこに故人様との大切な思い出があると、それを糧に歩んでいこうという気持ちになれるかもしれない。今回の場合、“アジフライ”という奇跡を生んだ食べ物が、ご遺族様にとってもキーワードになってくれた気がします。

ご葬儀に携わる方々は普段、正解がないものと懸命に向き合っていらっしゃいます。富樫様も、「エビフライがない……アジフライでも大丈夫だろうか?」と不安を抱えていたはず。それでも真心を込めてご用意したものが、ご遺族様にとっての新たな思い出をつくり出した。

そうした「想いが報われた」という体験が、富樫様をはじめ、働く皆様の頑張る力にも繋がっていったら嬉しいです。

−−最後に、林さんが考えるブランドブックの価値について教えてください。

私たち紡ぎ手は、“今までになかったもの”を生み出しているわけではありません。インタビューで聴くのは、すでに起きた出来事ばかり。でも、それをじっくり思い起こしながら追体験してもらうことで、ご自身の大切な想いに気づき直す時間を提供したいのです。ブランドブックには、そうして紡がれた想いや人となりが詰まっています。

ご葬儀は関わる機会が多くない分、どの会社にお願いするのか、担当は誰なのか……不安を感じやすいでしょう。そんなときパーソナルブランドブックを読んでもらえたら、他の誰でもなくその人に担当してもらえた感慨深さがより高まると思うのです。

対話を通して想いを紡ぐ。そしてパーソナルブランドブックに乗せて、お客様へと繋ぐ。
パーソナルブランドブックにはその人のらしさや色を読み手へ繋ぎ、より深い関係性を紡ぐ力があると信じています。

これからも温かな想いが巡るように

お客様から感謝のお手紙が届いた。
そのかけがえのない一つの出来事には、さまざまな人の想いが何層にも重なっていました。

つむぎと会津屋様との出会いにはじまり、代表・舩山様の想いからブランドブック制作がスタート。紡ぎ手が紡いだ一人の社員の想いは、“会津屋たより”に載ってお客様へ伝わり、そうして綴られたお手紙がつむぎまで届いた。

あぁ、なんて豊かな循環だろう。
お手紙が届くまでこの輪にいなかった私の中にも、温かな風が巡りました。

この感動を生み出し、共有してくださった会津屋様には、感謝の気持ちでいっぱいです。

これからも温かな想いの循環を生み出し続けられるように。
この感動を糧に、皆様の大切な想いを丁寧に紡いでまいります。

▼「パーソナルブランドブック」詳細はこちら
https://tsumugi-mirai.jp/lp/