つむぎ株式会社では、人づくり・組織づくりの観点から産業廃棄処理業界への支援を始めています。
支援に先立ち、つむぎ株式会社では、業界で働く喜びはどこにあるのか、やりがいをどのようなときに感じられるのかを改めて学ぶことにしました。

そこで株式会社まごころ清掃社様にご協力いただき、代表の前田が産業廃棄物回収を実際に体験。業界の実態に触れました。

ここでは前田が体験を通じて学んだことをインタビュー形式で紹介します(聞き手:つむぎ株式会社 紡ぎ手)。

社会に必要不可欠な仕事を人気職種にしたい

――産業廃棄処理業界(以下、産廃業)を支援することに決めた理由を改めて教えてください。

これまでつむぎ株式会社が支援してきた葬儀業界に近いものを感じました。

表立って称賛されることは少なく、なかなかスポットライトのあたる職種ではないけれど社会にとってなくてはならない仕事に真摯に向き合っている業界です。

誰からも求められている仕事に懸命に向き合っている素敵な会社をサポートすることで産廃業の仕事を人気職種にし、働いている人がやりがいを感じられるようにしたいと考えました。

産廃業界で働いている方々がもっと仕事に誇りを持つことができれば、社会はよりよいものになっていくと考えたのです。

――まごころ清掃社さんで体験することになった経緯を教えてください。

つむぎ株式会社では、現場で一次情報に触れることをとても大切にしています。

デスクトップサーチだけではわからないことが現場には山程ほどある。そこで、産廃業の仕事を体験してみようと考えました。

まごころ清掃社様で体験をさせていただくことにしたのは、業界のなかでも一際仕事に対する熱意が高く、良いモデルケースになる会社であったから。
想いを込めて手紙を書き、協力を依頼したところご快諾いただくことができました。

感じたのは「社会の裏側を見られる仕事」だということ

――体験のスケジュールや内容を教えてください。

体験は2回にわけて行いました。1度目は私が1人で2日間。2回目は紡ぎ手の高橋さんが一緒に参加してくれました。体験では主に飲食店やスーパーマーケット、一般店舗、オフィスなどから出る事業系一般廃棄物の回収をしました。

朝6時に事業所を出発し、15時までごみを回収するんです。まずは朝早いことがやや大変だと思いましたが、まごころ清掃社では3つのシフトに分かれて回収を行うので、全員がこの時間帯で勤務しているわけではありません。

廃棄物の回収は多くの人がイメージするように、店舗裏などに出された廃棄物を積み込むシンプルな仕事です。

一般的にはゴミ収集車と呼ばれることの多いあの車は、正式にはパッカー車といいます。回収した廃棄物を押しつぶして「パックする」からです。

途中でパッカー車がいっぱいになったので一度集積所に向かいましたが、それ以外の時間はずっとパッカー車への乗り降りを繰り返しながら回収を続けました。

――実際に廃棄物収集をしてみて気がついたことはありますか?

廃棄物の回収は文字通り裏側からお店を見ることになるわけですが、廃棄物の出し方によって「良い店」と「良くない店」があることがわかります。
回収するときのことまで考えて廃棄物を出している店はやはり「良い店」だと感じますね。ゴミ袋に入れる前にきちんと水を切ってあったり、袋から空気が抜いてあったりする店は素敵な店です。

廃棄物の出し方一つで回収のときの苦労は随分と変わるんですよ。水分が多いと重たいし、パッカー車も汚れる。空気が入っていると袋が爆発して中身が飛び散ることがあるんです。

産業廃棄物を回収しているときはそれほど臭いは気になりませんが、生ゴミなどが入った袋が爆発してその水分が服についてしまうとキツい臭いがするそうです。

「産廃業界は想像以上に働きやすい」現場で働いたからこそ得られた気づき

――廃棄物に対する考え方などは変わりますか?

ある程度の予想はしていましたが非常に多くのものが捨てられていることに驚きました。
まだ食べられそうな食品が大量に廃棄されているのを見るとやはり心が痛みます。

食の安全を守るためとはいえ、社会には食べることに事欠いている人もいるのに多くのものが捨てられている矛盾に遭遇すると、なんとかうまくいい循環が作れないものかと考えてしまいます。

――産廃業界の労働環境などに対して、何か発見はありましたか?

予想していたよりも働きやすい業界だと思いました。

始業時刻が早いという特徴はありますが、朝6時に働き始める場合の終業時刻は15時や16時です。残業等も特にないのでとても安定した働き方ができると思いました。

まごころ清掃社様では週休2日制度も維持できているので、無理なく働き続けられる環境だと思います。

体験時に以前は塾の室長だったという方が話をしてくれたのですが、前職よりも労働環境はとても良くなったそうです。

またやりがいも十分に感じることのできる仕事です。
廃棄物を回収していると、そのお店のスタッフの方などがよく挨拶をしてくれるんです。地域の方も「ありがとう」「ごくろうさま」と声をかけてくれる。

社会の役に立つ実感を覚えながら、感謝もされる稀有な仕事だと思います。

――臭いに対する不快感や体力面での大変さなどはありませんでしたか?

廃棄物は重いものもありますし、臭いの強いものもありますが、耐えられるものばかりです。廃棄物の出し方の悪いお店が多いと大変だとは思いますが……。

苦労を感じるのは天候が悪いときだそうです。

やはり、雨や雪、そして強風の日の回収は大変だと聞きました。特に風が強い日はパッカー車に資源ごみを載せるときに緊張感があるそうです。

私が体験した日は全日晴れていたのでそのような大変さはありませんでした。夏の暑さも厳しいでしょうね。

また同じような廃棄物の回収であっても、産業廃棄物を扱うか家庭用廃棄物を扱うかで疲労の度合いは異なるようです。後者の方が回収する地点が多いため、肉体的な負荷は大きいと聞きました。

よく労働環境が厳しい職場の苦労を「きつい」「汚い」「危険」をまとめて「3K」といいますが、産廃業界についていえば最初の2つはそれほど気になりませんでした。

ただし3つめの「危険」は残ります。廃棄物の出し方が悪いと、パッカー車内で発火し車が燃えてしまうことがあるんです。
まごころ清掃社様でも異物混入が原因でパッカー車火災が起きたことがありました。

「危険」を引き起こしているのは、消費者側や発注者側の選択や行動です。消費者側の意識を変え、正しくごみを捨てるように導くことで廃品回収をしている人々の危険はより小さくすることができることにも気が付きました。

産廃業界に光が当たる機会を増やすことで、消費者側の意識を変えるきっかけもつくっていければいいとも考えています。

「産廃業界は人気がない」は本当?現場の目線で感じた魅力とは?

――危険はあるものの、やりがいは大きい仕事なのですね。産廃業界で働く方々にリスペクトを感じます。

産廃業界は希望のある業界だと思います。これからも必要とされ続ける仕事ですから安定して働き続けることができるうえ、より良い方へ変化していく伸びしろも充分にあります。

特に、まごころ清掃社様のような熱意に溢れたプレイヤーがいることは大きな希望です。まごころ清掃社様は産廃業界の3Kを「きれい」「気持ちいい」「感動を与える」に変えていこうとしているんです。このような事業者が増えていけば、本当にみんなが「働くがやりがいに」を実現できる社会に近づくのではないかと考えています。

――産廃業界に課題はありそうでしたか?

採用には苦戦しているようでした。やはり一般的にはあまり良いイメージがないためです。

特に女性の就職率は低い。
ただし、まごころ清掃社様のようにDXによる業務効率化や福利厚生の充実を図っているところでは採用できる人数は増えています。
企業の取り組み方自体で採用力を高めることはできるんです。

産廃業界は企業側において「自分たちの仕事はイメージが悪い」と思い込みすぎている面があります。その意識を変えることが、つむぎ株式会社ができる支援の第一歩になると考えています。

産廃業界はまだまだ変わっていける

ーー業界のリーディングカンパニーとなりうるまごころ清掃社様のビジョンなどから学べることはありましたか?

まごころ清掃社様では「毎日1%でも新しいことに取り組む」ことを行動指針にしています。ささやかであっても今日を昨日とは少し違う日にするためのアクションを社員に求めているんです。

実際に私が体験に行った日にも、同乗者の男性社員は、犬の散歩をしていた人が飛ばしてしまったビニール袋を車から降りて取りに行ってあげていました。

1%の何かを変えようとすると、自然と良いことをするようになるんですね。このような出来事が積み重なっていくと、まごころ清掃社様ひいては産廃業界のイメージが良くなります。するとより働きがいを感じやすくなる。そしてまた何か新しいことに取り組むように……と好ましい循環が生まれやすくなります。

――改めて、今後つむぎ株式会社が提供していきたいバリューについてお聞かせください。

産廃業界は社会に不可欠な存在だからこそ、業界内では「自分たちは変わる必要がない」という考えが蔓延ってしまっています。それが結果的に人材不足につながっている。

働きかけ次第で、産廃業界はもっともっと働きがいを感じられる、働く人にとって良い職場になっていくと思います。つむぎ株式会社では、組織や社員一人ひとりのマインドに訴えかけていくことで、人づくり・組織づくりの観点から産廃業界の変化をお手伝いしたいと考えています。

――ありがとうございました。

まごころ清掃社様のご協力により、つむぎ株式会社が支援をしようとしている産廃業界の現状と課題、そして魅力が浮かび上がる体験をすることができました。

改めて、ご協力いただいたまごころ清掃社様には感謝を申し上げます。

この体験で得た知見を元につむぎ株式会社では、本格的に産廃業界の方々が誇りを持って働くための支援に取り組んでいきます。