つむぎ株式会社のブランドブック事業にて、編集者を担当している小泉京花(こいずみ きよか)です。現在、つむぎのお客様は葬儀業界の会社様が大きな割合を占めています。ブランドブック事業でも深く関わりのある業界です。

しかし私は、自身も葬儀に参列した経験がなく、葬儀の現場を知らずにこれまで制作に携わってきました。そのため、インタビューや原稿編集をする中で「みなさんのお仕事に対する深い理解と、適切な表現ができているだろうか」と違和感を抱いていたのです。

「ご葬儀の現場で働いてみたい」と弊社代表に伝え、みなさまのご協力のもと、2023年9月についに現場研修が叶いました。今回は、私が経験してきた現場研修についてご報告させていただきます。

今回の研修にご協力いただいたのは、滋賀県の長浜セレモニー様。長浜市と米原市に計4式場を構えており、地域密着型で、特に家族葬に力を入れている葬儀社さんです。

2022年にパーソナルブランドブックの制作をご依頼いただき、私もインタビュアー・編集者として携わらせていただきました。当時、13名様全員のインタビューを担当させていただき、お仕事への向き合い方や柔和な雰囲気に「この会社のみなさんと一緒に働いてみたい」と強く感じたのを覚えています。
ですので今回の研修は、葬儀の現場を知るのはもちろん、印象深かった長浜セレモニーのみなさんにお会いすることも目的の一つでした。

また弊社代表の前田も、前職時代に、長浜セレモニー様で現場研修をさせていただいたとのこと。そんなご縁もあり、今回私は5日間滞在させていただきました。

研修協力:長浜セレモニー株式会社


【 研修内容 】
1日目:病院へのお迎え・お打ち合わせ・市役所同行・お別れ式・納棺・お通夜
2日目:ご葬儀・出棺・火葬場同行・初七日・仕上げ膳
3日目:法事・人形供養祭準備
4日目:人形供養祭・後片付け
5日目:お湯灌・警察署へのお迎え・納棺

段階を踏んで、お別れする大切さ。


今回はみなさんのご厚意のもと、葬儀の流れのほぼすべてに触れることができました。初日の出勤早々に病院へのお迎え同行が決まり、いきなりご家族様と顔を合わせることに。「どんな表情や気持ちでいればいいのだろう」「私が同行して、ご家族様に無礼はないだろうか」と、戸惑いもありました。

病院へのお迎え、式場への搬送、ご安置。その後、息つく間もなくご家族様とのお打ち合わせが始まります。私の戸惑いとは裏腹に、ご家族様が意外にも明るいご様子だったのが印象的でした。でもしばらくお話を伺っていると、表情や仕草から、やはり心の中は揺れ動いているようにも感じとれました。

自分に置き換えてみても、家族が亡くなったとき、到底心の整理はつかないだろうなと思います。たとえ看病・介護の期間が長く心構えができていても。私は幸いなことに大切な人を亡くした経験がありません。いざそのとき、自分がどんな状態になってしまうのか怖くてたまりません。研修中、ふと自分の祖父母や父母の姿を重ね、目頭が熱くなる場面が何度もありました。

そんなことを思う中、社員さんに一番初めに教えていただいたのが「ご葬儀の流れ」です。率直に「急ピッチでこんなに多くの儀式を重ねるのか」とびっくりしました。でも、この儀式の多さこそが「段階を踏んで、故人様とお別れする」という大事なステップなのだと後から気づくことになります。

【 お迎え後… 】
・枕経
・納棺(ご家族様も見守る中で実施)
・納棺式
・通夜式
・通夜振る舞い
・葬儀式
・出棺
・火葬場での荼毘/お骨上げ
・初七日
・仕上げ膳

※長浜セレモニー様の一般的な家族葬の場合

このすべてを、逝去のご連絡を受けてからたった2~3日で進めていく……。そしてこれらを執り行なうために葬儀社がやるべきことは、またとんでもなく膨大です。

それまで葬儀と聞いてイメージしていたのは、「お通夜」と「お葬式」の2つだけ。でも実際に現場を見て、この一通りの流れすべてが“ご葬儀”なのだと考えが変わりました。

考えが明確になったのは、ご家族様の変化を目の当たりにしたからです。葬儀は故人様を送るものであると同時に、ご家族様の心を整えていく儀式なのではないか。以前、葬儀社の方から「どれだけ悲しくても、ご家族様はこれからも生活していかなくてはいけないから」という想いを聞いたことがあって。まさにそれだ、と。

事実を少しずつ受け止めながら、感謝や想いを伝えきり、悔いなくお棺のふたを閉じて見送る。最初のお打ち合わせではどこか心の揺れ動きが感じられたご家族様も、仕上げ膳に向かわれる際には少し晴れやかな雰囲気に包まれていたのです。一連の流れをそっと見守らせていただいた私も、ホッと安堵が生まれる瞬間でした。

葬儀社で働くということ


「ご家族様からありがとうと言っていただけることが、何よりのやりがい」
これは、パーソナルブランドブックの制作でもよく伺う言葉です。
実際、最後にご家族様がしきりに「ありがとう」とおっしゃっる場面を目にしました。2~3日付きっきり且つ、急ピッチで執り行なった後にいただく感謝の言葉は、確かに、この上ない達成感が生まれる瞬間でした。
実は「そこまでのやりがいが持てるのは、どうしてなのか」とずっと疑問に思っていた背景もあり……。今回そのリアルな場面に立ち会うことができ、想いへの理解を深められる貴重な経験となりました。

つむぎとしても、私個人としても「仕事のやりがい」の追求を日々行なっています。どのような場面で人はやりがいを感じられるのか、というヒントも得られました。

また第三者の目線から見て、葬儀社さんの仕事は本当に過酷です。昼夜関係なくお電話を受け、急に2~3日の予定がドンと決まる。逆に言うと、予定が決められず、柔軟な対応力が求められる仕事だと思います。

そんな中で、長浜セレモニーのみなさんは自分の役割を固めすぎず、柔軟にさまざまなポジションに七変化されているのが非常に印象的でした。その日いる人達で、自分ができることを分担しながらやっていく。少人数体制であればなおさら、幅広い知識やスキルのいち早い習得が必要なのだと痛感しました。

その場その場で、自分ができることを見極め、一致団結してご葬儀を執り行なう。だからこそ、葬儀社のみなさんから「知識をつけたい」「できることを増やしたい」という言葉を頂くことが多いのだなと理解できました。

長浜セレモニーのみなさんは、それぞれ個性をお持ちで、一緒に過ごさせていただく時間が本当に楽しかったです。1年前のインタビューでは、オンラインのビデオ通話で各1時間のみ。それにも関わらず「覚えてるよ!」とおっしゃってくださり、当時聞けなかったお話も伺えてとても嬉しかったです。

みなさんが集まる事務所の雰囲気はあったかく、しかし一歩式場へ出ればキリリと引き締まる。丁寧な仕草と、物腰柔らかな表情やお声でお客様と接する姿には、お客様にとって安心感・信頼感を生む“プロの接客”を見てとれました。

欠かせない地域との繋がり


最後に、私がもう一つ気になっていたのが「地域密着」です。
「長浜セレモニーが葬儀社として20年以上続いているのは、たくさんの方に支えられてきたから。地域の方々が、大切に育ててくれました」
松村社長のパーソナルブランドブックには、こんな言葉があります。インタビューでも「葬儀は、葬儀社だけで成り立つものではない」という想いを伺ったのが印象に残っているのです。

長浜セレモニーさんで過ごしていると、確かにたくさんの地域との関わりがありました。病院や警察の方、お花屋さん、お湯灌の専門スタッフさん、火葬場の方、近隣のパン屋さんやお料理屋さん……。葬儀社という立場はあれど、周りのみなさんとの連携が欠かせないことわかりました。

また今回は、長浜セレモニー主催のイベントにも参加させていただきました。人形供養とマルシェを掛け合わせ、お野菜の特売やキッチンカーのお料理なども楽しめるイベントです。

ここでも長浜セレモニー様のチームワークが発揮され、通常業務もあるかたわらサクサクと準備が進んでいきました。そして、開場前から行列ができてしまうほどの大盛況!想像の3倍以上のお客様がいらっしゃっていました。

葬儀社が地域の方と関わりを持つことは、表面的には、葬儀が必要になった際にはご依頼いただくためかもしれません。でもこのイベントで「地域の方の週末の楽しみを生み出す」のも、すごく価値があることだなと感じました。土地柄、都心より娯楽の少ない環境であることも加味されますが、非日常な空間の価値は高いですね。お客様やお子様の笑顔を見ていると、私もとても幸せな気持ちになりました。

そういえば、長浜セレモニーの社員さんの中でも「自分の入社前からよくイベントをしていて、印象に残っていた」という声もありました。こうして地域の方との接点を積み重ねて行くと、自然と理念に共感しうる、将来の社員さんとの出会いにも繋がるのですね。

研修から得た学びと、今後の活用

今回、現場で働かせていただいたことで、通常では得られない多くの学びがありました。このように簡単に言葉でまとめてしまうのが申し訳なく思うほどです。
あえてまとめさせていただくならば、私はつむぎで働く1人として、今後次の2点をより強化していきたいと思っています。

①お客様の仕事内容について理解を深めること

現場の仕事内容を少しでも把握しておくことで気づきのフックが増え、お話をより深められるポイントが格段に広がるため。パーソナルブランドブックにおいては、より適した言葉選びや表現を提案できる可能性が高まるため。

②仕事のやりがいを追求・探求していくこと

弊社のVission(Vission×Mission)である「働くがやりがいに、そして人生を幸せに」を軸に、ブランドブック事業を通して、自分のやりがいを“言葉”として持っている人を増やすため。つむぎ社内でも、共に仕事をする仲間にとって、やりがいを感じるための一助になりたい。

5日間の研修を経て、葬儀社さんのお仕事を知ると共に、自分の仕事についても考えがアップデートする機会となりました。自分自身まだまだ未熟者で、試行錯誤しながら生きている身です。これからもみなさんの想いや言葉を受けとりながら、たくさん学ばせていただきます。

今回ご協力くださった長浜セレモニーのみなさん、ありがとうございました!

▶︎長浜セレモニー株式会社

会社概要

▶︎前回の〈ご支援企業体験記 vol.1〉はこちら

「家族」というまなざし 〈ご支援企業体験記vol.1 みつわ〉